スキーリゾートから体験型教育旅行の受け入れ地へ
イーハトーヴォ安比高原自然学校 アドバイザー 斎藤 文明氏
スキーブームの終息や、娯楽の多様化による若者のスキー離れなどの逆風にも負けず、常に新たなマーケットを開拓していく「APPI」ブランド。体験型教育旅行に力を入れるイーハトーヴォ安比高原自然学校の、安比・八幡平を熟知した地元出身のアドバイザー 斎藤文明氏にお話を伺った。
スキーブーム終息と市場のニーズの変化に合わせて
いわて八幡平ワーケーションサイト編集部(以下HW): 体験型教育旅行に力を入れるきっかけを教えてください。
斎藤: スキーブームの終息を契機に、スノーリゾートとして確立されたブランド力や従来のリゾート開発だけに頼ることの限界を感じました。「販売力」の向上よりも、「マーケティング」(市場のニーズを満たす価値を生み出し、顧客に届けて、利益を上げるシステムづくり)が重要だと考え、安比・安代地区にある伝統や自然を資源に、安比高原自然学校をワンストップとした体験型教育旅行のプランを100件造成しました。それらを札幌市内の中学校に修学旅行プランとして提案した結果、札幌市内中学校の約1割が修学旅行の体験学習先として安比高原を選んでくれました。
人の生活と自然との関わりを学ぶ体験学習を
HW: 体験学習プランを造成する上でのテーマはなんでしょうか。
斎藤: 私どもの学習プランは、「安比高原の自然と文化にふれる」をテーマに、自然生態系や地域の生活や自然との関わりを感じていただき、「自然と人と、人と人のつながりに気付く」プログラムを提供しています。
例えば、誰もが美しいと感じる安比高原は1000年前(平安時代中期)から戦後まで「馬の産地」として地域の人々が自然と関わり守り繋げて来た自然草原です。
その「まきば」を覆う「ブナの二次林」は昭和初期に木炭生産で皆伐されその後成長した森ですが牛馬林間放牧を行ったことで美しい林床の森になりました。
放牧の終焉は「奥のまきば」「中のまきば」の森林化を招き自然草原は急速に減少しています。何度も刈り払いを試みましたがススキ・ワラビが増え自然草原は再生されません。そこで間伐材で柵を作り馬の放牧を試みることで自然草原が再生され始めています。
安比川流域のそば打ち体験は「やませ」気候に生きる地域の力を感じます。冷霧は稲作を受け入れることが出来ず、縄文から繋がる雑穀が主食の中で「手打ちそば」は農家の一番のおもてなし料理として各家庭に伝承されています。
HW: 体験学習を法人の研修旅行にも活かせるのでは。
斎藤: 豊かな自然と里山で暮らす人たちと関わる安比高原体験学習は、画一化した都市の生活者や企業組織に自然と関わる価値に気づかせ、人と人の関りに変化を起こし、新たな創造と挑戦へのパワーを生むと考えています。安比高原ワーケーションはそんな体験&コミュニケーションを研修旅行に考えています。
異文化体験交流のワーケーションで地域貢献をしたい
斎藤:私たちは前記の通り20年間、安比高原山麓の人々と共に体験学習を創造し、多様なお客様に異文化交流を提供して来ましたが、人口減少は全てに於いて活動を低下させています。 社会はコロナ過に限らず大きく変化をしていますが、持続可能な社会づくりに「自然との関わり」は不可欠と考え、異文化体験交流ワーケーションをコーディネートし地域貢献を目指します。
イーハトーヴォ安比高原自然学校
住所:〒028-7396 岩手県八幡平市安比高原
ANAクラウンプラザリゾート安比高原1F
TEL:0195-73-6228
電話受付:9:00〜17:30
公式サイト https://www.appi.co.jp/